さらば、釧路よ

 近所の公園の桜が咲いていた。
 忙しくて気づかなかった。

 引っ越し準備に追われ、美味しいものを食べに遠出できないのがつらい。
 蕎麦屋は遊び屋、葉月、宮嶋と、釧路に来た頃、よく通った店を回っている。
 この店のあれを食べたいというわけではない。蕎麦が緑色でないというだけだ。
 その点、ラーメン屋はときおり、無性に食べたくなる店がある。
 まるひらの正油と、河むらの特辛みそは、また釧路に来ることがあったら是非、食べに行きたいと思う。

 釧路を去る前に、気になっていた店を2つ訪れた。
 大楽毛の「みのりや」は、ママが強烈だった。ヒョウ柄のカットソーに真っ白なミニスカート。ダイナマイトな感じでお好み焼きと焼きそばを焼いてくれた。めちゃくちゃ旨かった。
 シーフードカレーで知られる寿司屋にも行った。寿司屋にカレーを食べに行くという選択自体が誤りだった。握り寿司も、そういう店の味だった。

 この街での生活もあと1日。
 さらば、釧路よ。

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引っ越し準備

 幣舞橋で映画の撮影が行われていた。
 私の見まつがいでなければ、さだめっち(生田斗真くん)がいた。
 かわいそうに。登別市出身なのに、すっかり釧路人みたいに扱われて。

 引越屋と契約した。
 段ボールの在庫が切れていて、入荷は来週になるという。
 段ボールなしに、どうやって引っ越し準備を進めろというのだ。
 使えないなぁ、釧路支店は。

 NTTに引っ越しの電話をした。
 この機会に光回線に変えませんか、と勧められる。
 変えてもいいのだが、それには工事が必要で、転居してから数日間、電話が使えないという。
 だったら今のままでいいと言うと、土日をはさむので開通は月曜日になります、だとさ。
 引っ越し直後は、電気・ガス・水道などの連絡・手続きで、電話が通じなきゃ困るということが分からないのか。
 まったく電電公社さまさまだ。

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退職願

 退職願を書いた。

 総務課の人間が書き方を教えてくれた。ご丁寧に。

 これで釧路から逃れられる。

 生きていかなくちゃね。

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釧路の耐えられない寒さと湿気

 朝、窓を開いてみれば、外は真っ白。
 雨なのか、霧なのか、はっきりしない。
 冷気が街に立ち込めている。
 またこの季節がやってきた。

 妻は、このところ毎晩うなされている。
 昼間も泣いてばかりで、「死にたい」と口にするようになった。

 もう駄目だ。
 このままでは、私も妻もメンタルになってしまう。
 これ以上、釧路に住み続けることはできない。

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半年ぶり

 5日 あいおいリベンジ。
 川湯のPANAPANAでパンを、バラック・カフェでシュークリームを買う。
 バラック・カフェの旧店舗は、ドアを開けた瞬間、心も身体もケーキの甘い匂いに包まれるのが好きだった。
 森のホールに移って店自体は広くなったが、香りが薄れてしまい、少し寂しい。

 昼食は網走市の温さんで。
 もりそばは、いつもどおりの美味しさ。
 なのに、かしわそばが別物になっていた。
 どうして初めから一味がかけられていたのだろう。

 道の駅あいおいでは、またも、がんもが売り切れ。アスパラも。
 リベンジならず。
 豆腐だけ買って帰ってきた。

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 7日 ひさびさ夜の末広。
 石井米穀店で陶器をみる。
 米屋なのに米を置いているスペースはわずか。小物や陶器がずらりと並んでいる。
 地下へ下りて、靴を脱いで、サービスのミルクティーを飲んでしまったら、手ぶらでは帰れない。
 兎のイラスト入り箸置きを買う。

 懸念したとおりブぅ~ちゃんはお休み。
 小雀さんへ。
 晩酌セットは、山芋の小鉢、刺身盛り合わせ、煮ツブ、ホッケ(特大1匹)。
 ギョウジャニンニクの天ぷらが美味しかった。

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 8日 標茶町へ。
 味匠もりで、天ざる と かしわ。
 そば湯がめちゃくちゃ美味しくなっていた。
 涌坂豆腐店で豆腐を買う。
 帰りは鶴居村経由で。
 民宿つるいで温泉に入り、ピットインのソフトクリームを食べて帰ってきた。

 この連休に出かけたお店は、半年ぶりのところが多かった。
 お店って、たった半年で変わるものなのだなぁ、と思った。

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本を売りに行く

 誕生日が近づいてきた。
 妹と、妻の実家から、立て続けにプレゼントが届く。
 どちらもエビス。
 「ビールはエビスしか飲まない」とさんざん吹聴した甲斐があった。

 昨日は本の整理をした。
 私は、読んでつまらなかった本をため込む癖がある。
 つまらないのは今の自分のせいだ。いつか読み返せば、きっと面白いに違いない、と考えるからだ。
 でも、時間がないんだ中年は。もう読み返すことなんてないだろう。
 段ボール3箱分を売ることにした。妻と2人でラーメンを食べられるくらいの値はつくはずだ。
 市内で最も真っ当そうな古書店を選び、親父さんにみてもらった。
「申し訳ないけど釧路では売れないんだよね、こういう本は。札幌ならいい値がつくかもしれないけど」
 丁重に断られた。
 山積みの本を家に持ち帰る元気もない。
 捨てに行こう、高山にある釧路広域連合まで。

 その前に腹ごしらえ。
 当初予定していたラーメン屋は駐車場がいっぱいで、近くの天ぷら屋に変更。
 私が注文した天丼は、海老が5匹のっているが、味がしない。
 妻は「お子様かきあげ丼」を親の敵にでも会ったみたいに無言で食べている。
 彼女は、外食で不味いものに出遭うと、ムキになって完食する癖がある。プロがつくったのだから不味いなんてあり得ない、食べているうちに美味しさが伝わってくるに違いない、と思うらしい。
 それでも半分涙目で私の方を見るので、少し手伝った。
 大きなホッキ、ホタテ、イカが入っているが、旨みがない。
 店を出てから、「ホットケーキみたいな天ぷらだったね」と感想を述べあった。

 釧路広域連合では、入口で車ごと計量される。ゴミを捨てた後、再度、計量し、480円請求された。10kg80円だから約60kgあったことになる。

 釧路市のはずれまで来たからと、そのまま晩酌の肴の買い出しに。
 厚岸漁協の直売所で特大サイズのアサリ、釧路町のヤマ福たから屋で揚げたての蒲鉾を買う。

 家に帰ると、鹿撃ち名人の奥さんがニジマスを届けてくれた。名人はこの時期、釣り名人に姿をかえている。
 本は金にならなかったが、ニジマスの刺身で飲むエビスは格別。いい誕生日を迎えられそうな気がした。

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連休初っぱな

 土曜日は川湯へ。
 リニューアルオープンしたPANAPANAは、外装が未完成。
 それでも店の中は、旧店舗のときと変わらぬお客さんの笑顔で満ちあふれていた。
 早い時間に着いたので、キッシュのほか数種類のパンを買うことができた。
 ここまではツイていた。

 津別峠は冬季通行止めで越えられず。
 この辺からツキに見放される。
 美幌峠経由で津別町へ。

 昼食は津別町ファームステイ・ティエラで。
 去年のGWに食べた“えびとアスパラの天ぷらそば”が忘れられなくて。
 今年はちょっと懐も温かいし、アスパラを買って帰ろうとも考えていた。
 しかし、メニューにアスパラ天はなし。アスパラも売られていなかった。

 帰りに「道の駅あいおい」に寄る。
 がんも売り切れ。アスパラも売り切れた形跡あり。
 豆腐だけ買って帰ってきた。

 夕食。
 食卓にキッシュと冷や奴、おからサラダが並んだ。十分おいしかった。
 ただ、もう少し早く道の駅に着いていれば、がんもとアスパラが手に入ったかもと思うと、物足りなさが残った。
 連休初っぱなからツイてない。

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ご注意あそばせ

 大樹町に行こうかと思っていたのに、待機命令が出た。
 今晩から明日にかけ、道東は大荒れの天気となるらしいです。
 ご注意あそばせ。

 早めに入浴して、出動命令が出るまで仮眠をとることにしよう。
 こういうとき、けっこう俺って社会のために働いているじゃんって気になる。
 自分で自分をほめてあげたい。

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えにし

 先週は残業続きで、何度か同僚と出前をとった。
 緑のそばは、ただでさえコシがないのに、出前だとよけいにブチブチと千切れ、悲しくなった。
 ピザは事前に予約していたにも関わらず40分遅れで配達され、届いた品数は注文より少なかった。
 ユルい。ユルすぎる。
 しかも、チェーン店だというのに、慣れ親しんだあの味と違う。
 ピザに限らず、釧路にある飲食チェーン店は、ハンバーグも牛丼も「想定外」の味がする。
 釧路人の嗜好に合わせた特別仕様なのだろうか。

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 昨日は十勝方面へ出かけた。
 道の駅「うらほろ」でホウレンソウ、インカのめざめを買う。
 つい先日まで、ここは中国人観光客を乗せたバスがトイレ休憩でよく停まっていた。今は国内客しかいない。
 昼食は中札内村の花はなで。もりそばはコシがあり、つゆも旨い。かしわそばも期待できると確信したのだが、極めて普通。素直にイチオシの「とんとんせいろ」にすべきだったか。
 米山食品で木綿豆腐「重蔵」、パン舎でグリッシーニを買って帰路についた。

 帰り道。幕別町の「こんぴら」の前を通りかかると、黄色いバスが停まっていた。
 車体には札幌市東区の住所と Dream Land Coffee の文字。
 ドリームランドコーヒーだ。
 4~5年前、札幌に住んでいた頃、よく通ったコーヒー豆店。
 濃くてコクのある「深々(ふかぶか)」と「深雪(みゆき)」がお気に入りだったのに、ある日突然閉店していた。
 以来、我が家はコーヒー豆難民となり、あちこち手を出しているが、未だ「深々」を超える豆には出会っていない。
 それが、こんな場所で再会するなんて。
 お店のお嬢さんも元気そうでなによりだ。
 早速、コーヒー豆を1パック買わせていただいた。

 日本は狭い。北海道はもっと狭い。
 そうだとしても、偶然にしてはできすぎている。
 運命といったら、ちょっと大げさだけど。
 袖振れ合うも他生の縁?
 神様はときどき粋な悪戯をする。

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まなべって

Moo

 津波に電源系統をやられて休業していたMOOが営業を再開した。
 めでたい。
 しかし、電圧装置を仮復旧させたというだけで、津波対策が施されたという話は聞かない。
 あんな場所に建てたら、津波の被害を受けることぐらい想像できたはずだ。
 教育委員会が入っている施設が、そんなことでいいんかい。
 地震が多い町のわりに、過去に学んでいない。

 「釧路人=勉強嫌い」ということではなさそうで、商工会議所などが主催するセミナーの類は頻繁に開かれている。
 ただ、その手のセミナーは、だいたいにおいて講師が国の役人とか、地元大学の御用学者だったりする。
 北洋漁業に石炭。国にふりまわされ凋落してきたのに、まだ国にすがろうというのか。

 「国土の均衡ある発展」をめざしていた時代は、それでよかったのかもしれない。
 「選択と集中」の今日では、通用しない。
 今後10年くらいは、東北に対して集中的な資本投下が行われるだろう。
 東北の中でさえ、「再生させる町」と「切り捨てる町」の選択がなされるに違いない。
 釧路は蚊帳の外におかれていることを自覚すべきだ。

 生涯学習センター「まなぼっと」はいつも、ひっそりしている。
 少しは「まなべって」。

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